何故それほどまでに自分本位の見方ができる?
見ろ、
そこにも、そこにも、
お前たちの言動によって不快感をあらわにした者がいるではないか。
お前たちの言動によって悲しむ者がいるではないか。
気付かないのか?
それほどまでに、愚かなのか貴様らは?
・・・・・あぁ、そうか
わかったよ。
その愚かな行為を俺達にまで求めてくるんだなお前達は。
もう、時間がないというのに本来ならすぐにでも切り捨ててやるところだが仕方がない。
我が半身の願いだ、もう少しの猶予を貴様らにやろう。
貴様たちがその愚かな行為に気づくかどうか賭けだ。
A ctions speak louder than words... 前編
「アンタ、何言ってんの?」
当たり前だろ。
だいたい、本来ならお前が率先して言うべきセリフだろ。
そんなことにも気付かないのか?
「今のは、思い上がった発言だわ」
何がだ?
所詮、犯罪者の分際でありながらそんな口きいていいのか?
お前の方こそ身分というものがわかってない。
「これだから、我儘なお坊ちゃんは・・・・」
これは、我儘か?
現実問題を考えた上での判断だとなぜ思えない・・・・
なぜ、これほどまでにこちらがわかってないと思えるのか不思議だ。
思い込みも甚だしい・・・・本当に分かっていないのはどっちだ。
「貴方は和平を壊すおつもりですの?」
だから、なんでお前までそいつらと一緒になっていってくるんだ。
そもそも他国の要人の前で和平を壊すかもしれないなどという発言を王女がしていいのか。
「はぁ〜」
溜まりにたまった疲れと精神的な何かを吐き出すようにつくため息とともにルークはベッドにダイブした。
ここまで神経をすり減らすほど疲れるものもあるのだろうか?
「お疲れだな、ルーク」
「当たり前だろ・・・・」
苦笑しながらルークの後から部屋に入ってきたのは今日の同室で唯一自分の事情を知っているガイだった。
「まぁ・・・あんな常識はずれな連中の意見を押し付けられりゃ疲れもするよな。」
「それだけじゃないけどな」
「あいつか」
「ったく、いくらなんでも回線つないだままであんなに怒んなよなぁ・・・」
すっげぇ頭痛い・・・とベッドの上に仰向けになりながらこめかみを押さえている。
「・・・・仕方ねぇだろうが」
その時、ルークと同じようで少し低い声が窓際から声掛けてきた。
「アッシュ!」
「来てたのか」
「あぁ、窓が開いてたから入らせてもらった。」
「確かに正面から入って旦那たちに見られたらまずいしな」
「アッシュ、あのさ・・・・」
「もう無理だ。」
ルークが上体を起こし言いかけた言葉を分かっているアッシュは皆まで言わせずに拒否した。
「限界だ。あいつらももういいと言ってきている。」
「けど・・・」
「ルークの言いたいこともわかるけどな・・・俺もアッシュと同意見だ。今日のあの会話じゃもう無理だ。」
「あいつらは自覚してない。最初からお前を見下し、まぁそれ自体もあり得ないことだがお前が何故発言したのか考えることすら放棄していた。」
「俺が見た限りじゃあいつらは絶対に話を聞かない。それ以前にお前が責められるのは目に見えてるんだ。」
「あと、報告じゃあアクゼリュス自体がこれ以上は持ちこたえれない。ローレライの奴も限界だと言ってきてる。」
「そう・・・」
最初はただの疑問だった。
何故、屋敷を襲ったにものを自分が守って前衛に立たなければならないのか。
説得という名で行った交渉に武力を用いて恐喝まがいいのことをし更には自分にもその片棒を担がせようとしたこと。
和平を結ぶために協力するのはいいが軍人が王族を逮捕したことに対する謝罪もなしに言ってきたこと。
まぁその頼み方も協力しなければ逮捕するという脅しがかかったものだったが。
彼がその発言をした瞬間の周りの兵の反応はまともだったが言った本人はわかってない。
明らかに自分の役職を分かっていれば使ってはいけない言葉遣いのもの。
それをフォンスロットをつなげるためにコーラル城に連れて行かれた時にアッシュは憤慨していた。
そして、今回の計画にそいつらは必要ないとまで言っていた。
しかも彼らと一緒にそう言われたとき確かに不安はあったが計画に参加しないと同行者達の命が危ないと思って猶予をもらったのだが・・・・・
やっぱり無理だった。
ルークはその瞳に少し傷ついた悲しみを浮かべていた。
ガイはそんなルークの頭に手を伸ばした。
昔かルークは頭をなでてもらうことで落ち着いていたから。
そしてアッシュはルークとは対照的に悔しそうに歯をかみしめていた。
もちろん、ルークに心配をかけないようにそれとわからないように。
わかっていた。
あいつらにこいつの言葉は届かないことも。
それでこいつが傷つくことも。
それでもルークが信じたいと言ったから俺達も少しだけ望みをかけた。
少なくとも同行者の一人はあいつらの知り合いだったからあいつらも少しは期待をしていたのだろうな。
無理だったが。
ルークからその話を聞いた時はまさかとは思った。
そんなバカなことをする人間がいるのかと。
一応フォンスロットをこっそりつないだまま少しだけ行動を見ていたが開いた口がふさがらなかった。
「とにかく、今日のが最後の試験だった。それでもルークの言葉を聞いてはくれなかったのは確かだろ?」
「あぁ」
「じゃ、これからは当初の予定でアクゼリュスに行けばいいんだな。」
「そうだな、あいつらはもう俺達の手には負えないからな。」
「用意はあいつらがしてくれているはずだ」
「だったら、俺達は向かうだけでいいんだな」
「あぁ・・・気をつけろよ。」
「わかってるって!」
「ガイ、こいつを頼むぞ。」
「まかせとけって。」
「それじゃぁ、俺は行く。あいつらにわかってはいたが結果を一応伝える必要はあるだろう」
「じゃぁ、俺も後でイオンに伝えとくからそっちはよろしくな。」
アッシュは来た時と同じように漆黒の教団服を翻し窓から出て行った。
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