昔、織姫と彦星という二人の男女がいました。

二人ともよく働く言い人ではあったが恋仲になってからはいつしか全く仕事をしなくなった。

それに怒った神は2人の間を川で隔てる罰を与えた。

2人は会えなくなった悲しみと後悔からちゃんと仕事をするようになった。

それを見た神は褒美として1年に一度、7月7日の夜だけ2人に会える日を与えた。

それが七夕の始まりなのです。






に願いを




「・・・・1年に1度かぁ。」




ベッドに寝そべった状態でルークはその雑誌から目をはなし天井へと視線を向けた。


今日の部屋割は個室であったルークは暇つぶしに部屋を物色していた。
大したものもなく寝ようとした時ベッドサイドに置いてあった雑誌に気がついたのだ。
この地域では七夕は名物行事らしくその七夕祭りについての宣伝であった。
そしてルークが読んでいたのはその宣伝雑誌の隅にある子供向けに説明してある七夕の由来。



「俺なんか絶対我慢できないだろうな〜。」



彼からの通信が1週間以上なければ心配になる

1月に一回でも会えないと嫌われたのかと不安になる

そんな自分が1年に一回、しかも雨だと川が氾濫するとかで(星が氾濫するのはよくわからんが)1年繰越し・・・・



「ぜってぇ無理!そんなに会えなかったら俺絶対に枯れる!!」



大体、神様とやらもケチすぎる。
真面目に仕事をしていたのだからもう普通に会えるようにしてやればいいのに。
好きな者同士を離すなんて・・・確かに仕事をしないのはまずかっただろうけどさ。
嫉妬してんじゃねえの?



でも・・・・・・・・








「1年に1回しか会えない恋人でもずっと愛し続けるなんて凄いよな。」




よっぽど、思い合ってなければできないことだと思う。

俺も、もし1年に1回しかあえなかったらどうなんだろう?

アッシュを思い続けれるのかな・・・・







「う〜ん・・・」

『ってめぇ!この屑!!なんで即答できねぇんだよっ!?』

「ふぇ!?ぁ、痛たたたっ・・・・・あ、アッシュ?」

『・・・ローレライが捕まっている今、俺以外にお前に通信を繋げれるやつがいるかよ』

「・・・ですね。」




通信越しにでもわかるほどに偉そう加減が伝わってくるがとりあえず、「急な通信+怒鳴り声」のダメージで俺は簡潔にしか答えれなかった。
せめて一言目は静かに言ってほしい。
なんの準備(主に覚悟)もせずに受ける通信は痛すぎる。
よく意識を飛ばさなかった。
えらいぞ俺。




『・・・・・・』

「アッシュ?」

『・・・・・・』

「(急に繋げてきて無視かこの野郎)何怒ってんだよ。」

『お前が・・・・・』

「?」

『お前が即答しないからだろうが!』

「えっと・・・・何にでしょう?」




あいにくと俺はエスパーじゃないのでいきなり答えだけ言われても対象物がわかりません。




『・・・さっきのだ。』

「さっきのって・・・・?」

『七夕の・・・・・・。」

「あ!あれのこと?ってか何で聞こえてんの!?」

『知るか!勝手に通信がつながってきたんだよ、お前の方からな!」

「嘘だ!俺からは繋げれねぇって言ったのアッシュじゃん。」

『だが、頭痛がしたのは今だろうが!』

「そりゃそうだけど!」


















「ぜぇ、ぜぇ・・・・・・」

『はぁ、はぁ・・・・・・』




結局あれから1時間以上も怒鳴り続けた。

のどの痛みや疲れは限界だ。

話は七夕から通信へ、最終的には性格や外見、好き嫌いなどどんどん最初のお題から外れていった。




「ぜぇ、ぜぇ・・・・なんで俺達恋人の日に喧嘩してんの?」

『はぁ、はぁ・・・・知るか。』



しかも負担の割合の高い俺もよくもったよ。




「あぁ〜疲れた。」

『俺もだ・・・』




このままは引き分けはちょっと悔しいし、どうしようか。

さっきの答え出たんだよな。

驚かせてやろうかな。





「・・・ねぇ。」

『何だよ・・・・』

「好きだよ。」

『あぁ・・・・・って、おいっ今?!』

「ぷっ・・・あははははっ!!びっくりした?」

『笑い過ぎだ。』

「だってアッシュ、驚きすぎ。まぁこれ本当にさっきの答え。俺はずっとずっとアッシュだけが大好き。」

『・・・・そうか』




あ、よかった。

アッシュ嬉しそうだ。




「じゃぁ、答えだしたし俺もう寝るからな。明日の朝早いんだよ。」

『あぁ・・・』



さて、寝るかな・・・

通信はアッシュがそのうち切ってくれるだろうし。



『寝たか?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ルーク、俺は1年だろうが10年だろうが永遠にお前を愛し続ける。』

「っ?!」







聞こえてきた呟きのような一言がまどろみかけた意識を覚醒させた。

すでに回線は切れていてアッシュにはわからなかっただろうが・・・・




「やられた・・・・。」






顔が熱い。

眠れなくなったではないか。








窓から覗く、天の川と輝く星たち。


織姫と彦星じゃないけどさ。


俺達もそれに負けないくらいに愛し合ってるよな。







 End ------------------------------------------------------------------------------------------------------