いっつも、眉間にしわ寄せて


いっつも、不機嫌な顔して一人で戦っている


そんな貴方の休める場所に俺はなりたい.








士の休息





目の前に広がる銀世界。

少しの肌寒さも気にならない。

だって俺の脚には大好きな紅と愛しい人の重み、腰には彼の腕それから・・・。























ケテルブルクは雪が降り積もっていて少々歩きにくい。
けど俺はある場所を目指してその中を走っていた。

それはなぜか?





「アッシュ!」


扉を破らん勢いで部屋に入ってきた俺の目の前にいる彼に呼ばれたから!



「おい、もう少し静かに入ってはこれねぇのかテメェは」

「ご、ごめん。」



いや、もう久しぶりにアッシュに会えることで頭がいっぱいで扉にまで配慮が回りませんでした。(宿の人すみません)


「ったく、それより体調が悪くなるとかないか?」



最近のアッシュは会うたびにそんなことを聞いてくる。

最初は乖離のことがばれたのか?!って思ったりしたけどどうやらそうじゃないらしい。

だから俺はいつもなんともないって答える。

本当は伝えなきゃいけないことだとはわかるけど、言えない。

だって、アッシュに負担をかけたくはないもんな。



「なぁ、どれ位ここに滞在すんだ?」

「アルビオールの調子が戻り次第だな。」

「え?アルビオール壊れたのか?!」

「壊れたわけじゃない。寒さで回路が調子を崩しただけだ、しばらくしたらギンジが直すだろ。」

「ふーん。」




そう言って俺はアッシュが腰かけているベッドの横に座る。

アッシュは別に怒らないし、いいよな。

俺はこうやってアッシュと二人で入れる空間がすごく好き。

何も話すわけじゃなくてただ二人でいるだけ。

それだけのことなのに落ち着くんだよなぁ・・・って、あれ?

肩重い・・・・?




「・・・・アッシュ?」

「・・・・・・あぁ」



どうやら眠たそうなアッシュが俺に体重をかけてきてるみたいだ。
なんか可愛いな。
こういうアッシュの姿を見るたびに気を許してくれてるなぁって感じがして、頬が緩むのが抑えれない。



「寝てもいいよ?」

「いや・・・・・・」

「ほら、俺の膝枕にしてもいいからさ寝ろよ」

「・・・わかった。」




もぞもぞと、俺の膝の上に寝転がってきたアッシュからはすぐに寝息が聞こえた。



「疲れてたんだな・・・」



俺はアッシュの髪をときながら考えた。



ギンジや漆黒の翼がいるとは言っても実際の戦闘になったら戦えるのはアッシュ一人。

背中を預ける人も回復してくれる人もいなくてアッシュはいつも一人で旅をしている。

それが悲しいと思えて何度も変わろうとか、一緒に旅をしようと声をかけたけどアッシュは一人でいいと言ってきいてくれなった。

確かに二手に分かれた行動の方が効率がいいのはわかるけどアッシュの危険が高いのは確かだった。

アッシュが本当に一人でいいのか、それは本人じゃない俺にははっきりわかるわけじゃない。

だからこそ、こうやって会えるときにアッシュが少しでも気を緩めることのできる場所に俺がなれたらと思う。




「本当は、無理してほしくないんだけどね。」




触れていた髪を少し救って口づけた。




「あ、このままじゃ風邪ひくよな・・・・あ、これでいいな・・・」




俺は近くに畳んであった毛布を広げてアッシュにかけた。



「ぅん。ル−・・・く・・・・・」

「え、アッシュ・・・?」

「・・・・・・・」

「なんだ、寝言か・・・・・・・ん?」




いつの間にか俺の腰にはアッシュの腕が抱き枕よろしくからみついていた。



「気づかなかった・・・。」




ほんと、かわいいな。

本人を目の前にしては言えないけどな。
















雪がしんしん降り積もる


腰には愛しい腕


足には愛しい重み


それから大好きな人の体温






「アッシュ、大好きだよ」




ささやくように小さな声で心の底から思いを込めて。











fin―-----------------------------------------------------------------------








久しぶりの短編です。
最近は暗い話ばかりだったので甘甘目指してみました。
なんかアッシュが壊れ気味?
いや、その可愛いアッシュが書きたかったんですよ!
やっぱりどんなに大人ぶっても17歳だし・・・ルークを癒しにして頑張ってほしいなぁ〜って思いまして・・・
ルークは彼の自己犠牲っぽい卑屈精神は母性的な雰囲気もあるんじゃないかと思いましてこんな感じになりました。